皆さまへ
暮らしのうつわ花田 松井英輔より
忘れられないこと、思い出すこと
以前、学生時代の友人が、
にっこりしながら口にした言葉が忘れられません。
「松井が言っていることの意味がやっと分かったよ。
茶碗ひとつで毎日の食事がこんなに変わるとは思わなかった。」
学生時代に、うつわに全く興味がなかった友人の言葉…
友人がふとしたことから、
青山徳弘さんの木賊のご飯茶碗を求めてくれたことがあり、
その時の言葉です。
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うつわやを営む家庭に生まれ、
小さい頃の記憶の中の風景には、
花田のうつわや父親の所有する骨董が並ぶ食卓が浮かんできます。
幼い頃の思い出は、
家族や友達と食卓を囲んでいる風景が多数・・・
小学校の目の前に住んでいたこともあり、
友達もしょっちゅう我が家で食事をしていました。
幼いながらも感じていたことは、
「楽しい食卓を囲んでいる時間は幸せであること」
そして気が付けば、当たり前のように、
うつわの仕事を始めていました。
うつわのおかげで
今の僕は、
「よりよいうつわは、どうあるべきか?」
「どんなうつわが、食卓を豊かにするのか?」
そんなことを四六時中考え、
日本中のうつわ作者の皆さんを訪ねる日々を送っています。
そして、
「よし、これは○○さんが得意だな。○○さんに頼もう」
「これ、あの人に頼んだら、面白いものが出来るかもしれないな」と進んでいきます。
僕の仕事は作者の皆さんなくして、成立しません。
そして、出来上がったばかりのうつわを見るときは興奮、いや一種の緊張を覚えます。
自分で使ってみたり、作者に工夫や苦労話(自慢話?)を聞いたり・・・
そして、それらをお客様に見ていただくとき、それは一番のクライマックスです。
そうやって、うつわを通じて、皆さまの食卓が少しでも豊かになれば、
僕にとってこれ以上の喜びはありません。
うつわを通して、多くの笑顔を
食卓の主役は”そこにいる人々”であり、”料理”です。
それらを脇役として支えているのが、うつわです。
よりよいうつわは、食卓を豊かにし、
豊かな食卓は、暮らしを豊かにする。
そして、豊かな暮らしは人生を豊かにする、
そう僕は信じています。
勿論、僕自身、美味しいものを食べたり飲んだり、
食事の時間を楽しく過ごすことが大好きです。
「大人数で賑やかに」でも「少人数や一人でじっくりと」でも変わりません。
楽しい会話に、美味しい料理や飲みもの、
僕にとって豊かな食事の時間ほど気分のよいものはないのです。
だからこそ、願いは1つ
食事をもっと美味しく、食事の時間をもっと楽しく!
これからも変わりません。
そして、選ぶことも、手に入れることも、使うことも、
或いは人に贈ることも、
それぞれ楽しく、嬉しいのが、うつわだと思っています。
これからも、よりよいうつわを通じて、
皆様のお役に立てるよう努めてまいります。
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九段坂上に店を構える店舗は、千鳥ヶ淵や靖国神社など緑に囲まれ、四季を通じた景色も楽しめるロケーションにあります。店舗ではうつわについて、お料理について・・・スタッフと楽しい会話をお過ごし頂けます。
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2階のギャラリースペースでは、毎月展覧会を行っております。作者の個展からグループ展、季節に合わせたガラスや土鍋などの企画展など、さまざまな角度から食卓のご提案をしております。
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暮らしのうつわ花田は1977年より東京九段に店を構え、開店以来、人々やうつわと多くの出会いがありました。
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暮らしのうつわ花田 店主 松井英輔より皆さまへ。