Episode #005 Dear 茶碗蒸し Likers
Episode #005
Dear 茶碗蒸し Likers
魅惑の食べもの、茶碗蒸し
ああ、なぜでしょう。
今日も無性に食べたくなってしまう。
なめらかな食感、卵とだしの優しい風味。
匙を入れ、具材を掘り起こす時のワクワク感…。
海老、帆立、鶏肉、銀杏、
はたまただしの味で勝負の硬派な具ナシか。
これはもう、うつわの中に広がる小宇宙。
魅惑の食べもの「茶碗蒸し」!
嫌いという声はあまり聞かないけれど
なぜか脇役感が否めない。
しかし改めてその魅力に迫ってみると、何やら奥が深そうです。
藩士を魅了した異国のひと品
そもそも、茶碗蒸しとはナニモノなのか…?
料理の発祥は、徳川綱吉の時代にまで遡ります。
長崎にやってきた唐人たちがもたらした
卓袱料理がそのルーツと言われ、
あまりの美味しさに驚いた伊予松山の藩士・吉田宗吉信武が
専門店を作り、広めたのが始まりなのだそうです。
そんな、古くから人々を魅了してきた茶碗蒸しの魅力を
敢えて三つ挙げるならば、
「特別感」に「意外に簡単」、そして何と言っても「自由度の高さ」。
…これでしょう!
熱々の蓋を開ける瞬間や、匙が具に当たった時の高揚感。
何かと楽しみが多い茶碗蒸しは、食卓に並んだ時
何とも言えない「特別感」があります。
だしと溶き卵を静かに混ぜて、茶碗に注いで蒸すだけという 、
「意外に簡単」な調理工程も大きな魅力の一つです。
茶碗蒸しの可能性は無限大!
最後に、実はこの魅力ってあまり気付かれていないのでは…と思うのが
和洋中何でもござれ、その驚くほどの「自由度の高さ」。
「卵とだし」この鉄則を守り、だしや具材を変えさえすれば
トマトとモッツァレラでイタリアン、
ネギと牡蠣にごま油を効かせて中華風…
熱々はもちろん、ひんやりにも
どんな風にも変身できてしまうのが茶碗蒸しのすごいところ。
さらには蕎麦猪口、カップ、丼、土鍋…と
専用のうつわならずとも
今日の献立やテーブルコーディネートに合わせて
実に様々なうつわで楽しめるというのも、
意外に知られていない楽しい一面なんです。
メイン料理として土鍋にたっぷりと、
冷たい前菜として洒落たカップに…。
シーンや季節に合わせて、自由な発想でうつわを選べば
可能性は無限の大宇宙!
そんな魅惑の茶碗蒸しの世界、あなたも覗いてみませんか?
≪焼きとうもろこしの冷たい茶碗蒸し≫
(1) ペースト状にしたとうもろこしと卵、昆布ととうもろこしの芯で引いただしを使って素地をつくる。
弱火で火を通し、しっかりと冷蔵庫で冷やす。
(2) 醤油を塗ったとうもろこしをバーナーで軽くあぶり、
ゆでたオクラと一緒に上に飾り付けたら完成。
茶碗蒸しを楽しむアイテム
定番の蓋付き茶碗も良いけれど、
マグカップや土鍋、蕎麦猪口をその日の気分でチョイス。
自由な発想が、新しい定番のひと品を作ります。