Episode #001
Dear Pepper Likers
胡椒もすごいけど、胡椒好きもすごい。
その小さな粒は誕生後たちまち人々を魅了し、
さまざまな料理に用いられるようになりました。
そして、世界中に胡椒愛溢れる胡椒好きも現れることになります。
胡椒の原産国はインド。
紀元前500年ごろ古代ギリシアで薬用や食用として初めて使用されたそうです。
その希少性から、当初より高価値。
権力や財力の証となり、給料や税金の支払いに用いられたほどです。
大航海時代には胡椒を巡って外交関係にも影響が出るほどに。
世界を揺り動かす原動力ともなりました。
日本には聖武天皇時代の8世紀ごろ伝来、
遣唐使が持ち帰ったか、インドか唐の僧が献上したとされていて、
正倉院「種々薬帳」の60種にも名を連ね、実物も保存されているようです。
現在の胡椒の主な生産は、
ベトナム、ブラジル、インド、カンボジアなど、熱帯地域が中心です。
世界中の数多のスパイスの中でも確固たる地位を確立しており、
日本国内の輸入スパイスの中でも断トツの量を維持しています。
食用としての胡椒は防腐、抗菌作用に加え、
その香りの強さ、独特の辛みと風味から、臭み消しや辛味づけに重宝されてきました。
種類(黒、白、グリーン、ピンク等)によっても個性は際立ちます。
臭みをやわらげたり、香りをつけたり、味を引き立てるために料理に溶け込んだり…。
最近は胡椒そのものの質が向上、楽しみ方も広がりを見せています。
ビール、納豆、デザートなど、これまでとは違う胡椒の楽しみ方も定着。
近代以降、日本の食卓とつかず離れず付き合ってきた胡椒が、
胡椒好きによって更に魅力的なものとなりました。
胡椒の楽しみは、果実としての香りを感じながら、
ペッパーミルに胡椒をコロコロと入れるところから始まります。
続いて、ジリッ、ジリッと胡椒を切る音をパッパーミル越しに聞きながら、
甘くてシャープな香りをストレートに感じ、
パラパラと落ちていく胡椒が変える料理の表情に満足する。
2年前、胡椒好きの一人の木工作家が自らペッパーミルを作り始めました。
ヤマニ木工の内山翔平さんです。
「自分で作ろう」と思い立ち、すぐに試作開始。
胡椒を更に美味しく楽しくする、
胡椒好きの胡椒好きによる胡椒好きのためのペッパーミルの登場です。
見た目、握り心地、重さ、材質、質感、高さ、容量…
胡椒好きの一つ一つの要望と内山さんが真摯に向きあったことは、
かたち、大きさの膨大なバリエーションがもの語ります。
挽くごとに気分が上がる、ペッパーミル。
最後にもう一度。
胡椒もすごいけど、胡椒好きもすごい!
Viva Pepper!
Viva Pepper Likers!!