生島賢さんインタビュー 2022


のびのびと。

花田:ガラスとの出会いは、どのようなものだったのでしょうか。(以下花田-)

生島賢:子供のころは絵を描いたり、紙を切ったり貼ったり…、常に何かを作っていて「大人になったら何でもいいから物を作っていたい」と思っていました。

生島賢インタビュー2022

-:ご家族の影響でしょうか。

生島賢:父親は酒類メーカーのセールスマンでした。
その関係でアメリカに2歳からいたんです。母親は料理作ったりとか、裁縫したりとか…。
直接的な影響はなかった気がしますが、僕が勉強を全くせず、物ばかり作っていることを咎めず、むしろウェルカムな感じで見守ってくれていたのは感謝しています。

-:「絵なんか描いていないで、勉強しなさい」ではなかったのですね。

生島賢:反対は全くされませんでした。
そして、絵画教室に行かせてくれたり、美術館や博物館に連れて行ってくれたり…。

-:今も、絵日記をつけられています。

生島賢:自分のデッサン力の維持と記憶の補助です。
忘れっぽいので(笑)。

-:絵日記にするためにも、モノや出来事をきっちり見るようになりますね。

生島賢:大体、記憶を頼りに次の日に書くことが多いので、モノを見る力と想像力が必要になります。
で、たまーに読み返すんですけど「あ、こんなことあったなー」とか「こんなことしていたんだ」とか…結構楽しいですよ。
息子が小さかった頃のものは、特に面白いです。

生島賢インタビュー2022

あれ、焼き物はないの?

-:北米はどちらにいらっしゃったのですか。

生島賢:ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨークです。

-:今、幼少時のアメリカでの経験の影響を感じられることはありますか。

生島賢:言葉…でしょうね。小6で日本に帰ってきたとき、ひらがな書けませんでしたから。
数学も全然でした(笑)。
だって、当時アメリカの算数って、小6で1000と1000の足し算とかなんですよ。
だから普通の日本の学校に行っても、ちんぷんかんぷん。
国際学級のある学校に転校、そこで初めてひらがなの勉強をしました。

生島賢インタビュー2022

-:その後どのようにして進路が決まっていったのですか。

生島賢:具体的には陶芸家になりたいと思っていて、多摩美術大学に「クラフト科」というのがあったんです。当時「クラフト=陶芸」だと思い込んでいて「クラフトというジャンルに入れればいつかどこかで陶芸できるだろう」ということで受けました。
で、たまたまでも合格したのは良かったのですが、入学したら、そのクラフト科にはガラスと金属しかなかったんですよ。
で、陶芸はなぜか油絵科だったんです(笑)。

-:入学後に知ったのですか。

生島賢:えぇ。「あれー?」って。
でも「陶芸やりたい」って言っている僕に何も言ってくれない予備校の先生もどうなの?って感じですよね。
まあ、知らない自分が一番悪いんですけど(笑)。

-:それでガラスを選ばれる。

生島賢:焼き物のロクロに憧れていたんですけど「ロクロを横にすればガラスだよな」って自分に言い聞かせて…。
いずれにしても選択肢は二つしかありませんから。

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-:まあ、どっちが陶芸に近いかと言えば…。

生島賢:まあ、ガラスかなと。釉薬もガラスだし。

生島賢インタビュー2022

務めること、考えること

-:卒業後はどうされていたのですか。

生島賢:新島ガラスアートセンターに3年、高橋禎彦さんの工房に2年、その後ニューハンプシャーのダン・デイリーさんの工房に2年いました。
最初の二つは主に吹きガラスでしたが、ダン・デイリーさんの所ではそれ以外のバーナーワークや研磨について学べました。

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-:ダン・デイリーさんの元ではどのようなことをしていたのですか。

生島賢:ダンが、あの絵のようなものを見せてきて「あれに近いものを作る」って決めるんです。
その上で、アシスタントとしてその実現を目指します。
「ダン・デイリーの頭の中にあるものを具体化させる」という取り組みがメチャクチャ面白くて、初めてのことばかりでした。
ダンは絵しか描かなくて「あとは自由にやって」って。
基本的には形と色の指示だけで、あとは僕らが考えて作るんです。
ダンは当時で既に超一流と言われていたので、そのレベルでガラスを別の視点から見ることが出来たのは実に貴重でした。

生島賢インタビュー2022

明るくて楽しい

-:で、この西伊豆に。

生島賢:22年になります。

生島賢インタビュー2022

-:現在はレースグラス主体で活動するようになりました。
賢さんの仕事は、ゴージャスやエレガントでなく、明るくて楽しいレースガラスだと思います。

生島賢:「レースだけど普段使い」です。
ただ、今はレースが多いですが、別にレース作家というわけでもないので、色々やっていきたいと思っています。

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-:これからやっていきたい事はありますか。

生島賢:木工とか…。たまに遊びでやりますけど、もうちょっと踏み込んだ木工。
彫ったり、組んだり。あとは、木や金属などの異素材と組み合わせて。
インスタレーションもやってみたいです。

-:花田の展示会に向けては、いかがでしょうか。

生島賢:今回は制作動画もあるので、モノを見ながら一緒にイメージしてもらえるといいなと思います。
レースガラスは作業自体も面白いものですから。
「面白い作業をすると、面白いものができるね」なんてね。

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動画



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