イム サエムさんインタビュー 2021


イム サエムさんインタビュー 2021

本年は10月と12月、2部構成による拡大版の個展が実現することになったイム サエム展。
花田に届いた作品を前にしながら、イム サエムさんにお電話でお話しを伺いました。
展示会でイムさんと会話するような…くつろいだ気分をお楽しみください。



花田:10月も半ばを過ぎてだいぶ秋めいてきました。
東京の紅葉はまだ先かと思いますが、イムさんはいかがお過ごしでしたか?(以下花田-)

イム サエム:元気に暮らしています。
花田の皆さんもお元気ですか?しばらく会えてないから寂しいねぇ。
朝晩は冷えるようになりましたね。(以下イム)

-:今回出品いただいた作品の数物は、めし碗、中皿、中鉢など、普段の食卓で使いやすい、身近なうつわが多いように思いました。

イム:いつも小さなものから大きなものへ順番に作ります。
ひと通り作り終えたら、次にプラスしたいものや、足りないと感じたものを作るというのが、僕のやり方です。散歩道に花が咲いたことに気づいたり、天気が良ければ空に浮かぶ雲を見て、「何かに似ているなぁ」と想像したり、僕の場合は毎日の中から文様のアイデアやイメージを膨らませることが多いです。

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両手スープ碗

-:この両手スープ碗はこれからの季節にぴったりですね。
朝、このうつわでスープをいただいたら元気に一日がスタート出来そうです。
可愛らしい耳が付いて、それでいて生地が変形することなく、ふわっと開いた輪花の形状が見事です。

イム:そう言ってもらえると嬉しい、ありがとうございます。これはね、やはり難しいです。
焼成時にどうしても耳に引っ張られて楕円になったり変形したりしてしまうので予め数多く作ったけど、やはりダメになってしまったものが多かったです。
でも難しい制作への挑戦は、工夫を凝らして考える楽しさもあり「こうやったら上手くいくかな?」「こんな形を作ったらお客さまが喜んでくれるかな?」と、想像しながら作りました。

イム サエムさんインタビュー 2021

-:更に耳付きでありながら重なる姿がきれいで感激しました。
具沢山のスープにも良さそうなサイズ感といい、優れた実用性はさすがです。
このあたりはきっと奥様のご意見も反映されているのではと、想像しています。

イム:そうですね、家内には見てもらいますし、新作を作った時は自分達で使ってみるようにしています。作ったものがどんな具合か知っておかないとね。
耳付きは重ねられないと、収納にちょっと不便かな、と思ったので、ちゃんと重ねられるように作りました。耳付きですがスープに使うだけでなく、小鉢として料理を盛り付けても楽しいですよ。

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台皿

-:「銘々に使ったら素敵だなぁ」と想像が膨らみます。
見込みから縁にかけての境目の連続文様に釉薬が溜まり、鮮やかなブルーが心を捉えます。
このメリハリが全体を一層華やかにしているように感じました。

イム:高さがあるとちょっと特別な感じがしますね。
見込みの連続文様は石膏で刻印を作り連続して押したものです。ハンコということですね。
筆で描く文様や、彫りであらわす文様とも違う印花文を加えると面白いリズムが生まれると感じました。とはいえ、印花文様は強く主張し過ぎず、「印花かな?」と思える程度がバランスが良いと思ったので、やや抑え気味に押しています(笑)

-:高台皿は形状が大きな魅力です。
リムは花が開いたように上向きに広がっていますが、幅広のリムが焼成で垂れることなく、横から見るとどれもきれいな上向きの仕上がりとなっています。
焼成時に素生地が垂れて左右のバランスが崩れそうな気がするのですが、そのあたり、当然のごとく美しい佇まいを見せているのが凄いですね。

イム:高い温度で焼成するので、生地と釉薬のバランスはいろいろと気を使います。
高台皿は全体のバランスがきれいでないと…。作るたび難しさを感じています。

イム サエムさんインタビュー 2021

-:本当にきれいですね…。
テーブルに向き合って座った時、自分には見えませんが、相手側のお皿の置く位置に距離があるので、対面から見ると高台のブルーがふっと視界に入るのです。
たまりませんね。そこに心をつかまれます。

イム:(笑)ありがとうございます。

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ピッチャー(大小)

-:ピッチャーは大小ありますね。
並ぶとまたひとつひとつに個性があり、何とも言えず可愛らしいです。
小サイズは家族の食卓でパンケーキ用のメイプルシロップを入れたり、大サイズはこれからの季節鍋料理の時にポン酢を入れたりしても良さそうです。
イムさんはコーヒーがお好きだったと思いますが、ミルク入れなど(確かブラック派だったとは思いますが…)何か使うイメージがありますか?

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イム:ピッチャーは手間がかかるのですが、取手を付けると小さな佇まいに動きが生まれ表情が出るところが気に入っています。
ミルクなど入れる以外にも、草花1輪か2輪を小さく活けてテーブルに置くのもなかなか良いです。染付のブルーと草花のコントラストに爽やかさを感じます。

-:秋冬は赤い実を付けた枝ものも合いそうですね。
確かイムさんのお家のお庭ではさまざまな草花を育てていらっしゃると伺いました。
お庭の花を摘んで食卓に飾っていらっしゃるのですね。
淡く優しい色合いのブルーに小さなお花が映えそうです。

展示会によせて

イム サエムさんインタビュー 2021

-:20年を超える長年のファンのお客様とともに、最近は20代、30代のお客様もイムさんの作品を目にし「使ってみたい」と望まれる若い世代のファンの方が増えています。
多くのお客様がイムさんの素敵なブルーの作品に触れることを待ち望んでいらっしゃると思います。

イム:ありがたいことですね。
展示会の制作は数ヵ月に渡り、出来上がったものは家内が次々に発送の荷造りをしていくので、最終的に一同を目にすることは無いんです。作ることに夢中になっているので、展示を見て「あぁ、これも作ったんだ」と思い出すほど(笑)。
今回はHPで拝見するのを楽しみにしていますね。

-:ありがとうございます。
九段店舗でのプレビューは展示風景を動画でご紹介しますので、是非ご覧になってください。
イムさんが楽しみにしてくれたら、動画の制作にも力が入ります!



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