九谷青窯と花田
花田四十年の歴史を振り返る時、
九谷青窯の存在を抜きにして語ることはできません。
九谷青窯は花田の創業遡ること三年、
現在も主宰者である秦耀一氏を中心に
三十代前後の 前途有為な陶工三~四名の集団で出発しました。
※この大きな窯が九谷青窯の力技。 日々たくさんのうつわを窯焚きしています。
高い志を持って
日常生活に用いる器を供すること、
古典を基調にしつつも時代に即した良質の器を作ること、
その為にも価格は手頃なものに設定すること等、
当初から高い志を掲げていました。
この三つの要素は
花田の基本姿勢にも投影されるものです。
長い人気を誇る理由
料理を生かすということを大切にしていることから、
文様はいたってシンプルとなります。
九谷青窯の器を使われたお客様からは
「使い易い」「飽きがこない」「安いので気軽に使える」 と
普段使いの器として最高の評価をいただくことになるのです。
うつわ作りの現場
工房を訪れますと、
常に二十代から三十代の若手陶工たちが十名前後、
黙々と作陶に励んでいます。
主宰者 秦耀一氏は 九谷青窯のフィールドを逸脱しない範囲で、
各陶工の個性を生かすよう配慮しています。
また、時代の流れを読み取ることにも敏感です。
実際、やりとりしてきたこの四十年間を顧みても、
方針や雰囲気を変えたと思われるときが何度かありました。
そんな時、その変わり様に 瞬間戸惑うのですが、
やがて、その変化が
私達の生活に馴染んできて
説得力ある器として活躍してくれることになります。
これからも同士として
こうした現実を見るとき、秦耀一氏の巧みな手綱捌きに感服するのです。
九谷青窯には過去多くの若い陶工が門を叩き、そして巣立っていきました。
巣立っていった陶工には、
白磁の水野克俊氏、
林京子氏、北野敏一氏、藤塚光男氏、中尾万作氏、
岡本修氏、岡田直人氏、日下華子氏、等
個性豊かな活躍をしている器作者が数多くいます。
秦耀一氏はこうした作者たちの基礎作りをしたという面に於いても
多大な貢献をしていると言えます。
九谷青窯と花田、作る立場と売る立場という違いはあっても
同じ志を持ち同じ道を歩いてきた同志と信じています。