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Kazu Obaさんと花田が出会ってから6年、
ついにギャラリーでの個展が実現しました。
3月、花田で初めてお客様にKazuさんのうつわをご紹介し、
展覧会を前にした今年4月、
店主がKazu さんを訪ねました。
うつわ、料理、暮らし、未来について・・・
多くを語り合った作者とのやりとりを、2話に渡ってご紹介致します。
どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。
工房を行く Kazu Oba
1話・・・Kazuさんとの再会、展覧会へのスタート
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4月、コロラド州ボーダーへKazu Obaさんを訪ねました。
来週から始まる個展の打合せのためです。
ボーダーはアスリートの高地トレーニングの場所として有名。
市街地でも標高1500メートルを超えます。
さて、昼どきのデンバー空港で、Kazuさんが笑顔で迎えてくれました。
「取り敢えず昼飯。行きましょうよ、寿司。デンバーにだって美味しい寿司、あるんですよ」
さっそく、食べ物の話しから始まるあたり、彼らしいし、こちらも気分が上がります。
Kazuさんのスタジオはすっきりした、
日本国内の、やきもの作りの場所とは違う雰囲気を持っており、
仕事のバックグラウンドの一端を見ることができました。
Kazuさんの制作活動は陶芸に限りません。
彫刻など、スタジオは制作物で溢れていました。
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僕としても、個展に向けて目指してみたい方向性もありましたし、
作って欲しいものも色々ありました。
具体的にサイズやかたちまで決めているものや、機能だけを決めているもの、
ただ、雰囲気だけをイメージとしてもっているものなど様々。
Kazuさんも色々と考えてくれていたようで、
アイデア交換は尽きることがありませんでした。
滞在しているあいだ、食事中、移動中、散歩中・・・
しょっちゅう、うつわと料理の話をしました。
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こちらが投げかけると、それがベースになって会話が広がります。
「縦横これくらいの大きさで、フラット。焼〆がいいと思いますけど」などと言うと、
「少しは深さがあったほうがいいんじゃないですか、いや一度それでやってみましょう」
などと返ってきます。
取り敢えずやってみる― これが”KAZUスタンス”です。
我々にとって、出来たものも勿論ですが、こうやって一緒に作っている過程も大切です。
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Kazuさんの作るうつわは、おおらかで、力強く、
上手さとはまた違った存在感のようなものをそなえており、
花田で他の多くのうつわと並んでいても、パッと目に入ってきます。
お客様からも、
「おおらかな仕事ね」
「なんか、持っている雰囲気が独特ですね」
「こういう質感、意外とありそうでないですよね」
「使ってみたら、予想以上に使いやすい!」
といった感想を伺います。
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彼の仕事から感じられるダイナミズムは、
自身の生き方やライフスタイルを色濃く映し出しています。
生きることと働くことがとても近く、大きく重なっているKazuさんの仕事です。
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