6月の「花田の新作」は、中山孝志さんのガラスの瓶2種です。
中山孝志 ガラス瓶(四角) [\ 26,250] 中山孝志 ガラス瓶(五角) [\ 26,250]
毎年6月、花田ではガラスを主とした夏のうつわの展示会が恒例です。
中山孝志さんのうつわ、特に新作はその中心。
その新作を楽しみに待っていて下さるお客さまも少なくありません。
中山さんとの新作準備はガラス展のおよそ半年前に始まります。
花田が選んだ東洋、西洋の骨董、あるいはガラスに関する書物などを挟んで、
「これ綺麗ですね」「これは難しそうだけど、面白いものになりそうです」などと話しながら、
新作の構想を共に練るのです。
そして、東京の桜が散る頃、4月後半に中山さんの工房を訪れ、新作の感激を味わうのが恒例です。
年々、中山さんへの我々の期待は大きくなっているはずです。
しかし毎回、その無防備に膨れ上がった期待を遥かに超えてしまう、中山さんの吹きガラス。
今年も例外ではありませんでした。
ところで、中山さんの工房は岡山県美作市も人里離れた山中に佇んでいます。
年3-4度の坩堝(るつぼ)の交換時期を除いて、中山さんはその工房でひたすら宙吹きガラスに従事。
すっかり日本語になってしまったコラボレーションといったものなどどこ吹く風、
自ら信じる仕事を最初から最後まで単独で貫き通す姿には、
彼の作り出すうつわが持つその孤高とも言える超然とした雰囲気に、
―決して独創的、個性的と呼ばれる作風ではありませんが― 相通ずるものがあります。
中山さんの仕事は、
一見して目に入ってくるとろけそうな風合いや過飾を削ぎ落としたシンプルなフォルムなどに加えて、
手作りでありながら、いわゆる手作りっぽさを出来る限り排したところにも一つの特徴があります。
材料選択や製法の洗練、同業者ですら舌を巻く高度な技術が大前提ではありますが、
例えばうつわの底にあるポンテ痕というつなぎ目は小さく、
また焼き物で言えばろくろ目にあたる成形跡もほとんど目立ちません。
手作りの魅力が淀みなくうつわから伝わってくるのは、
かえってその「手作りっぽくなさ」ゆえ、とも言えます。
さて、今月の新作。
18~19世紀のドイツのガラス瓶からヒントを得た新作は、
現前すればまさしく心を奪われてしまう美しさ。
百聞は一見にしかず、です。
ガラスのページはこちら→