12月の「花田の新作」は玉山保男さんの浄法寺オーバルプレート本朱・木地呂、蓋付大椀です。
玉山保男 オーバルプレート・ 本朱(\47,250) |
オーバルプレート・木地呂 (\47,250) |
蓋付大椀(\ 16,800) |
浄法寺は国内のおよそ7割を産出する日本産漆の最大産地で、そこで作られる漆器が浄法寺塗です。
8世紀前半、天台寺の寺僧らによって作られたのが浄法寺塗の始まりですが、暫く途絶えていました。
今から30年ほど前、岩舘隆さんらの手によって見事に再興がなされます。
以来、良質な国産漆を惜しみなく使用し漆器本来の魅力に溢れるうつわは、
再び多くの人々を魅了してきました。
精神や技術といった伝統を重んじながらも、食文化の変遷に対する柔軟性を備え、
現代の食卓を抵抗なく飾ってしまう浄法寺の漆のうつわ。
この懐の深さは1300年に及ぶ歴史ゆえでしょうか。
さて、今月の新作では、見たこともないような漆器の登場です。
オーバルプレートはフランス19世紀末の陶器楕円皿が漆器として生まれ変わりました。
西洋独特のゆったりとした楕円に、丹念なノミ跡がやわらかく刻みこまれ、
そこに浮き出る下塗がプレートにモダンを加えます。
洋の東西を問わず、様々な料理を豪快に引き立て、晩酌には盆としても重宝しそうです。
今回のプレートは、玉山保男さんの塗りの美しさは言うまでもありませんが、木地そのものも圧巻。
浄法寺より北へ、大野という町に工房を構える木地づくりの名人、佐々木米蔵さんによる仕事です。
花田より、そのオーバルプレートを持参した時の佐々木さんの第一声は
「難しいな、でもとてもきれいな楕円だ」。
決して「できない」とは言わない佐々木さん独特の言い回しですが、
それから約半年後、木地の見本が花田に到着しました。
いつも以上の労を間違いなく要したであろうその仕上がりは想像を超えていました
。
見込みをフラットに保ちながら、中央に向かってぼんやりと消えていくノミ跡は名人芸と言えるでしょう。
その力作を前に、上塗り後の姿を思い浮かべながら、早速佐々木さんに電話をすると・・・
「時間かかった」の一言。
そこに何とも言えない自信と満足が凝縮されていたのでした。
続いての新作は蓋付大椀。
昨年10月の新作、蓋付椀の進化版とも言える大椀です。
「もっと大きかったら普段使いに最高なのに」とのお客様の声にお応えして作りました。
本来の可憐な佇まいに、存在感がぐっと加わった印象です。
新年に雑煮、春先にちらしずし、夏にはひつまぶし、秋口には蓮根餅・・・
季節と共に、一年中活躍の蓋付大椀です。
この、塗り、木地ともに、まさに上質といえる新作で新年を迎えてみませんか。