11月の「花田の新作」は田沼英里さんのグラス2種です。
(左から)田沼英里 モールゴブレット(\ 4,515)、モールタンブラー(\3,885)
ガラスといえば、なんとなくメルヘンを感じてしまうことも少なくありません。
原料としてのガラスは紀元前4000年以前、吹きガラス工法は紀元前1世紀半ばに
それぞれその発祥を遡ると言われる長い歴史も一因でしょうか。
現在に至るまで、ガラスの人々とのかかわり合いも様々。
ある時は宝石の一つ、ある時は黄金に匹敵、
ある時は身近でお洒落なうつわ、ある時は進んだ文化の象徴。
その中でも現代は、
食器としてのガラスが、もっとも豊富で我々にとっても親しみやすいものになりました。
季節にかかわらず、ガラスのうつわは料理や飲み物の色や香りをストレートに引き立ててくれます。
今月の新作は、そのガラス食器の魅力を凝縮したような、グラス2種です。
まず目を引くのが、
何を注いでも、その中身の表情をダイレクトに伝えてくれそうな透明感。
それは、作者の田沼さんの原料段階にまで踏み込んだ徹底した仕事振りゆえ。
通常、ガラス吹き職人はカレットと呼ばれるガラスの塊を使用しますが、
田沼英里さんはカレットを使わずに、
バッチと呼ばれる粉状の原料を煮上げる工程からうつわを作り上げていくのです。
そして、目指す質感の実現のため、煮上げの温度は通常より高め、
しかも丸一日使って夜中まで煮上げの工程を続けます。
もちろん、優れた造形も魅力。
シャープさと柔らかさを兼備した、
バランスの良い全体のフォルムと、モールを使って丁寧に成形された一つ一つの面取り。
見た目より軽く、手にも柔らかいそのかたちは見た目も使い勝手も満たしてくれます。
透明感あふれる新作グラスで、
シャンパンのゴールドやロゼカラー、或いはビールの琥珀色、そして連なる泡と共に、
極上の時間をお過ごしください。