工房を行く~村田森 直前訪問記~






花田では、来年2月、村田森さんの個展を予定しています。
先月11月、その打合せのため、村田さんを訪問しました。
まずはいつものように、世間話や、
花田から持参した骨董や、村田さんの持つ骨董について話が弾みます。
古染付、古赤絵、李朝、古伊万里から西洋骨董に至るまで、様々なものを囲んで、
「これ、どこで買ったんですか。いいなあ」
「この文様は構図が面白いですね」
「これは江戸中期くらいですかね」といった具合です。
また、それ以上に村田さんの骨董に接する姿はしびれるものがあります。
村田さんは骨董を論じはしない。
興味、関心、感嘆の赴くまま、骨董の内へ内へと入っていってしまう。
勿論、色々と語りはしますが、外から論じている感じではないのです。
古きものを素直に受け入れ、
そのものの内側からそれらの本質をつかもうとしているように見えます。

骨董を前に、話が弾みます。 仕事がしやすく整頓された、
村田さんの工房。

「個展、どうしましょう。村田さんが何か考えていることはありますか」と投げかけると、
「勿論食器主体。白磁や染付を中心にしたいと思うし、
よく言っておられる『現代の食文化、食卓において評価され、使われるうつわ』を
展開していきたいって思っています。型ものなんかも新しい形を作りたい」と返ってきました。
言葉の端々に「新しいことを色々とやってみたい」という今後の展開への意欲が表れ、
加えてそこには、あらためて新鮮な気持ちで仕事に取り組みたい、
という彼自身の内面の部分も含まれているように感じました。
結局、打合せは、これからの食文化や、あるべき食器の姿から、
今、或いはこれから求められるうつわの形状、用途に至るまで、3時間に及びました。

絵付けを待つうつわの数々。 絵付けされた、魚型向付。
村田さんの工房。

12月に入り、二度目の打合せです。
村田さんが花田に来店し、 用途、大きさ、形状、機能等々、
さらに具体的な部分でうつわ作りについて打合せました。
花田から追加で送った、西洋骨董についても色々と話しました。
東洋の骨董も勿論参考になります。
一方、西洋骨董には、多様化した現代の食文化にも十分耐えられるうつわ作りを目指す上で、
参考になるエキスがたくさん詰まっているのです。
村田さんの表情や確認してくる内容から、
新作づくりへの並々ならぬ情熱をあらためて実感した打合せでした。

花田での打合せ。 話に自然と熱が入ります。

「これからもずっと、よりよいうつわ作りに存分に取り組んで下さい」
村田さんと打ち合わせながら、ずっとそう思っていました。

骨董や古典、陶芸の高く、広い見識ゆえの高い理想に向かって、
村田さんの才能はフルに動員されます。
不易流行における絶妙のバランス感覚、
伝統や古典といったものへの敬愛、そしてそれらを理解する独特の眼、
人の喜びを自らの喜びとできる生まれ持ったサービス精神、
確固たる技術や他にはない魅惑を生み出す独特の造形、絵付けのセンス、
いいものを作るために惜しまない努力や工夫を続けられる体力や気力、
それらをうまくオブラートに包ませるしゃれっ気やユーモアセンス、
そして、焼き物やものづくりに対する素直な愛情。
才能溢れる若き陶芸家、村田森さんがこれからのうつわの世界で、
極めて重要な役割を担っていくことは間違いありません。
まさしく22世紀に残るうつわづくり。
村田さんは確かに歩み始めています。

2月が待ち遠しくて、なりません。
乞うご期待!

■企画展名
村田森 個展

■開催期間・場所
期間 : 2013年2月20日(水)~ 3月2日(土) ※期間中無休
場所 : 「暮らしのうつわ 花田」 2Fギャラリースペース

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