7月の「花田の新作」は、ほたる窯の新作7種です。
ほたる窯 水玉8寸皿 [\ 3,780] / ほたる窯 染付リム細コマ8寸皿 [\ 3,780]
ほたる窯 そば猪口 雁図 [\ 2,100] / ほたる窯 そば猪口 朱コマ [\ 2,100]
ほたる窯 有平丼(高台広) [\ 2,940] / ほたる窯 三色コマ平丼 [\ 3,675] / ほたる窯 陽刻ひねり丼 [\ 4,200]
ほたる窯の清水潔さんと花田の付き合いは、
清水さんが九谷青窯を独立して以来なので、四半世紀に及びます。
ある人気女性陶芸作者をして「食器を作るために生まれてきた男」と言わしめたその才能は、
数々の普段使いの食器の名作を生み出してきました。
コスモス皿、縁鉄楕円皿、白磁八角皿・・・選ばれ、使われ続ける定番のうつわは数知れず。
独立以来、途切れることなく続いているものも多く、
通算にして数千を超えて作られているうつわも少なくありません。
それらの根強さは、確固としています。
と言うのも、ほたる窯の場合ブームなどといったものがあるわけではなく、
そのうつわが持つ雰囲気同様、25年間淡々と一定のペースで選ばれ続けているのです。
繰り出す新作も8-9割方定番として定着していくため、
いつしか、花田でついた呼び名は「暮らしのうつわ定番王」。
なかなか新作が登場しないのもほたる窯の特徴。
それは一つのうつわを丁寧に、納得いくまで練り上げていくからなのでしょう。
そのペースすらほたる窯の定番として花田には定着、
なにより本人が遅いだの早いだのというペースについては全く意に介していない様子です。
地味でも派手でもない全体の雰囲気。
柔らかな筆のタッチ。
うるさくなく、物足りなくもないオーソドックスでバランスの取れた構図や、程良い文様の間。
日常において使いやすく、洗いやすく、収納しやすい形状、大きさ、重さ。
そして、決して軽視はできない極めて良心的な価格。
ほたる窯のうつわを前に、特徴を思いつくままに挙げていけば、
おのずと日常使いのうつわのルールブックが出来てしまいそうです。
そして、決して特別扱いなどしないでくれよと言いたげな、
目立つことを出来る限り避けたようなそのうつわ全体。
「個性」が感じられないことこそが、ほたる窯の何よりの個性です。
割れることもある、粗雑に扱われることすらあるだろう「たかが食器」への割り切りすら感じます。
それも、料理の脇役としての普段使いのうつわづくりについて妥協せず、
「されど食器」を追及してきたからこその潔さゆえ。
お客さまも「ほたる窯だから」「清水さんだから」と言ってうつわを選ぶというよりは、
好きなものを選んで、その後気付いたら全部ほたる窯だったということがほとんど。
清水さんが淡々と、
一方で粘り強くコツコツ積み重ねてきたその取り組みに相応しいお客さまからの評価である気がします。
ある意味、普段使いのうつわ作者にとってこれ程のステータスは無いかもしれません。
新作と呼ぶには引け目を感じてしまうほど、既にこなれた雰囲気を具えた新作7種。
安心感溢れる清水さんの仕事をどうぞご覧ください。