清岡幸道さんインタビュー2019


清岡幸道さんインタビュー2019

オリーブ流し

花田:  今回の展示会に出品予定のうつわについて、お話を伺いたいと思います。
まず、オリーブ釉流し6.5寸皿です。(以下花田-)



清岡幸道さんインタビュー2019

清岡: これはオリーブ釉と、もう一種類釉を掛けています。

-:  この「オリーブ釉流し」は「オリーブ釉」に比べて、色が濃いようです。
もう一つの釉薬は、鉄釉か何かですか。

清岡: はい。鉄釉の種類は鬼板で、それで景色を出しています。こういう部分ですね。

-:  オリーブ釉に鉄釉を加えて掛けようと思ったのはなぜですか。

清岡: オリーブ釉のものとオリーブ釉流しのものは、土の種類が違います。
オリーブ釉流しで使っている土に、オリーブ釉だけしか掛けないと、ちょっと柔らかすぎるイメージになってしまいます。
それなので、ちょっと表情を出そうと思いました。

清岡幸道さんインタビュー2019

-:  裏も面白いですね。

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清岡: 裏も、一枚一枚表情が違います。
色々ある鉄釉の中でも、鬼板は結構面白いです。
このお皿は自分でも気に入っていて、よく使います。


清岡さんの楕円皿

-:  さて続いてこちらの楕円皿(S)。同じくオリーブ流しですか。

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清岡: 釉薬のかけ方は一緒ですが、焼き方が少し違います。
こちらは、還元を強くして、温度も低めです。

-:  このリム無しタイプの楕円皿は最近ですか。

清岡: 今年からです。プレートとして使える楕円皿を目指したので、見込みはフラットに近いです。

-:  ワンプレート朝食にもよさそうです。

清岡: はい。

-:  楕円のパターンは縦横比率だけではなく、丸みを帯びていたり、細身だったり、ある意味無限です。
清岡さんが「いいな」と思う楕円はどのようなものでしょうか。

清岡: 普通の楕円のものよりは、先端がシュっとなっているような、かと言って尖がっているわけではないくらいのものが好きです。
僕はもともと正円のものが多いので、その中で対比的に際立てばいいなとも思っています。


それぞれに良さや発見が・・・

-:  続いて、灰白窯変6寸平鉢です。
釉が見込みに向かってキレイに流れ込んでいて、吸い込まれるような魅力があります。

清岡: これは5年以上作っています。

-:  この雰囲気を出すのに色々と工夫されているのではないですか。

清岡: 元々釉を厚めに掛けているのでヒビも入りやすかったんです。
それなので、焼いた後ゆっくり冷ましています。

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-:  流れ方も色々で、一つ一つの違いを楽しめますね。

清岡: 僕の中にも理想形があるわけではなく、出てきたものにそれぞれ良さや発見がある気がしています。
緑が多くなるのもいいし、白っぽくなるのも、それはそれでいいなって。
ちょっとピンクがかっている時もあるし、色々です。

-:  すごくキラキラしている時もありますよね。僕、あれ好きです。
これは釉が流れるから、ある程度高さや角度がある形状のもののほうが良いのでしょうか。

清岡: プレートみたいに平らなものでも面白いんですよ。
一方向に流れずに、グニュグニュ釉薬が動くので、また違った表情が楽しいです。
たまに、グルっと回ったり、すごく面白いのが出るので。


使うイメージは使う人へ

-:  清岡さんは、うつわを作る時、料理などをイメージされるのですか。

清岡: あまりしないです。
自分が使い手だったら、何に使うか悩んだり、考えたりすることも楽しみの一つだったと思うので、使い道に関して、あまり自分のアイデアをうつわに詰め込み過ぎないようにしてます。

-:  作る段階で、その楽しみを使う方々から奪ってしまわないように、ということですね。

清岡: 僕のうつわって、決して用途をイメージしやすいうつわではないですよね。
色々なうつわがある中で、自分のものを選んでくれている人は、だからこそ、そういうイメージ作りも楽しんでくれているんじゃないかなと思っています。

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ありそうで、ない

-:  清岡さんが、うつわを作る時に大事にされていることは何ですか。

清岡: 形状などはできるだけシンプルで、使いやすいものを目指しています。

-:  清岡さんのうつわはシンプルで、つくりもオーソドックスですが、どこにでもあるものではありません。
清岡さんも以前チラっと仰っていましたが「ありそうで、ない」って、僕も思います。

清岡: 「ありそうで、ない」って一番難しいんでしょうけど。


マグカップの飲み口と取っ手

-:  次はこの灰白マグです。

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清岡: これは鉄分を多く含んだ土を使っています。
その土を活かせる釉薬を選びました。
鉄釉なんかを使ってしまうと、Black on blackで土から出てきた鉄分が埋もれてしまいますよね。
出てきた鉄分がキレイに見えそうなものを選びました。

-:  清岡さんのマグにも色々なかたちがあります。
マグを作る時に、大事にされていることはありますか。

清岡: 飲み口の部分です。

-:  先がピッとしていますものね。

清岡: 飲み口の直前で少し膨らんで、先をピッとさせています。

-:  どんな形のマグでもこの飲み口ですね。

清岡: この口当たりが好きなので。キレがいいというか。

-:  飲み物がストレートにダイレクトにシュっと入ってくる感じですね。

清岡: そうですね。そっちのほうが美味しい気がしています。

-:  こういう口で冷酒なんか飲むと美味しいでしょうね。

清岡: 以前、お客様に言われて作っていました。

-:  取っ手はいかがでしょうか。

清岡: 角手マグなんかも持ちやすさを考えました。
あと、これも、何となく親指が置けるようにはしています。

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青灰窯変

-:  続いて青灰窯変リムボウルです。
青灰は相変わらず流れるのがきれいですね。
この釉は先ほどのものと一緒でしょうか。

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清岡: 下地に白化粧がかかっているか、かかっていないかの違いです。

-:  見込みからリムに向かって折れるところにたまった釉なども見どころの一つですね。
かたちはどうでしょうか。

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清岡: これだけではありませんが、僕のものは浅いものが多いです。
自分自身が浅いうつわを使うことが多いからだと思います。

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-:  現在は、全体的にも食器は浅くなっている気がします。
うつわの形状も、その時その時の住環境や家族構成、食文化の影響を受けますよね。
お話、有難うございました。
展示会、よろしくお願いします。

清岡: こちらこそよろしくお願いします。



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