十角のお皿
花田:今回の企画展出品予定の新作などについてお話を伺いたいと思います。
まず、この十角皿はいかがでしょうか。
大小2サイズあります。古伊万里の白磁を見ていただきました。
言われなければ元が古伊万里とは分からない仕上がりになったと僕は思います。
最初あの白磁を見たとき、イメージはすぐわきましたか。
(以下花田-)
古賀:
磁器みたいに繊細な感じではなくて、つちものに合うようなイメージをすぐ持てました。
イメージに従って作っても、違うことがありますが、これはすんなり受け入れられました。
-:十角は活かしつつ輪花にはしませんでした。
他に取り込んだ要素はありますか。
古賀:
なるべく見込みを平らに保って、深く立ち上がる部分でしょうか。
カーブそのものもきれいだし、「使う」意味でも優れていると思います。
-:元々の大きさは、ちょうどこれくらいでしたが、加えて大きいのも作ってくれました。
古賀: 見込みが広いので8寸じゃちょっと大きいし、かといって6寸だと中途半端だなと思って、7寸にしました。
-:この十角皿、灰釉はありませんね。
古賀: 個人的な感覚だけど、そのかたちに合う、合わないで、釉は決めています。
-:この藁灰釉は相性いいですね。
ぴったりです。
八角のお皿
-:続いてこの隅切です。
これはヨーロッパの古物を見ていただきました。
元はもっと大きいです。
古賀:
サイズも、縦横の割合も変えました。
あのままだと、洋風になり過ぎてしまうので。
-:あの縦横比率だと、日本の食卓では使いづらいかもしれません。
きれいな形に仕上がりました。
古賀:
最初は、いっそのこと正方形のほうがいいなと思いましたが、長方も作ったらうまくいきました。
焼き物皿なんかのイメージです。
今までこういう発想がなかったので作っていて楽しかったですよ。
-:なかった発想とは?
古賀: 八角とか、隅切って和食器にも昔からあるけど、立ち上がりの部分や、リムの雰囲気が今までとは違いました。
-:縁の最後の立ち上がりが利いています。
古賀: あったほうがいいと思います。止まる感じがするっていうのかな。
-:これがあると引き締まるし、全体に表情も出てきます。
古賀: 釉が薄くなりますからね。
-:用途はどうでしょうか。
古賀:
小さいほうは、作ってはみたけど、自分の中で用途が思いつかない(笑)。
お客さんに使ってみた感想を聞いてみたいです。
-:(笑)。焼きナス…ですかね。
古賀: あ、そうだね。
-:大きいほうは分かりやすいですね。
肉料理とか…。
古賀: そうですね。
粉引、刷毛目、焼締…
-:ところで、古賀さん、最初のころは粉引や刷毛目だけでした。
古賀:
はい。黒釉なんかは最近です。
-:粉引や刷毛目は古いものか何かに憧れていたのですか?
古賀:
つちものといって、それしか思いつかなかったんですよ(笑)。
絵を描くわけでもないし、装飾することも頭になかったから…。
ただ、自分は最初は焼締が好きでしたよ。
やきものの最初のきっかけは焼締だったから。
-:信楽あたりですか。
古賀: そう。信楽や備前。
-:食器をやるなら、焼締だけよりは、粉引や刷毛目のほうが幅は出てきますね。
今回の企画展には焼締は…?
古賀: 酒器を作ってみたけど、仕上がりがもう一つだったので、今回は出さないでおきます。
-:他と窯は一緒ですか。
古賀:
一番前の温度が高く上がって、灰もよく被るところで。
でも、登り窯って、穴窯なんかと違ってあまり灰被らないから。
基本的に、登り窯はきれいに焼きたい窯なんで、窯のことは、もう少し考えようかなと思っています。
-:窯は何かまた手を加える予定ですか。
古賀:
前に一度作った粉引だけの窯をばらして、もう一回作り直そうかなって思っています。
今回ちょっと間に合わなかったけど。
刷毛目30年
-:次は刷毛目です。
古賀さんの刷毛目は花田のメンバーにもフアンが多いです。
古賀:
刷毛目って、刷毛に化粧土をつけてかけるのと、素地を化粧土にドボンとつけて刷毛をかける方法がありますが、僕は大体後者です。
それで半乾きの時に、刷毛をかけるほうが軽い感じになるのかなと思います。
前者だと、それはそれで荒々しさとか、ごつさみたいな感じは出ますよね。
前は両方やっていたけど、やはり、どっちかというと、上からサッとかけたいですね、僕は。
-:半乾きの時。
古賀: 乾きすぎると刷毛目にならないし、あまり乾いていないと、刷毛の線にならずに、ベタっとした感じに…、なんて言ったらいいのかな、線がぼやけて走っている感じが出ないんですよ。
-:刷毛目始めてからだと、30年以上経ちますね。
最初のころと変わってきましたか。
古賀:
ろくろもそうだけど、車の運転と一緒ですよ。
いろいろ考えなくなりました。体が勝手に反応する感じです。
-:どんぶりの刷毛目は雰囲気が違いますね。
古賀:
どんぶりだけは作り続けているので、昔から使っている白い土をずっと使っています。
こっちは粘りっけがあるというか、磁器に近い感じなんです。
土自体は、あまり赤味とか出にくい、鉄分が少ないものです。
-:ありがとうございました。
展示会、よろしくお願いします。
古賀: よろしくお願いします。