共にあゆむ、木地師と塗師


共にあゆむ、木地師と塗師

共にあゆむ、木地師と塗師

40年以上前「浄法寺塗の再興」を志した岩舘隆さんは、
木地師の佐々木米蔵さんと出会い、長年に渡り浄法寺塗を支えてきました。
そして同じ道を志す若者が1人、2人と集まり
両氏を慕い学びを得て、仲間が増え
今、浄法寺塗の大きな財産となりました。


左から
浅野奈生・・・浄法寺塗師、現在は八幡平市内で独立
佐々木米蔵・・・木地師、平成29年現代の名工に表彰
岩舘隆・・・浄法寺塗師、浄法寺塗第一人者、地元で唯一の伝統工芸師
玉山保男・・・浄法寺塗師、現在は盛岡市内で独立
佐々木正徳・・・木地師、佐々木米蔵さんの息子さん、山中で修行しその後岩手に戻り現在の工房で後を継ぐ
佐賀義之・・・木地師、佐々木米蔵さんに師事
長畝(ながうね)崇・・・木地師を志す若き担い手



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座談会のはじめからこの笑いです。

木地師と塗師

花田:木地師と塗師の方々にお集まりいただきありがとうございます。
浄法寺漆器の道を長く一緒に歩んできた皆さんに、今日は気心知れた仲間として、普段の仕事やエピソードなど伺いたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

花田:もう既に米蔵さんにお願いしている木地があるのですか?

玉山:はい。あります、あります。

米蔵:玉山君のはぐーっと遅らせてもいいんだよ。
大丈夫なんだ。

岩舘:だって仕事が早いもん、玉ちゃん。

花田:なるほど(笑)。

岩舘:ササーッとね、その手際の良さ!

玉山:よく言うよ、1度も見たことないからね。

一同爆笑

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この日は主役級のトークで楽しませてくれた塗師の玉山保男さん。

花田:あ、そうですよね。
上塗りの日に塗師の所へ行きませんよね。

玉山:だって行ったら怒られるもの~(笑)

米蔵:昔からそうだよ。上塗りしてる日はもう電話も出ないから。
行っても出てこないし、「失礼しました」って帰ってこなきゃなんないよ。

岩舘:だからさ、変な人が来るときは上塗りの日にしちゃうの。 一同大爆笑

岩舘:「帰った!」と後姿を見て確認したら出ていくわけ。

一同爆笑

花田:上塗りの日は出て来れないって、皆さんの暗黙の了解なんですね。

米蔵:だって動けばそれだけ埃も出るしね。
上塗りしている時は外から窓越しに確認して「また後で来る」って合図して帰りますよ。

岩舘:玉ちゃんなんかすごいよ、チリが飛んでいても付かないようにして空中でチリを避けながら塗るからさ(ジェスチャーを交えて)

一同爆笑

花田:それスゴイ、踊ってるみたい!(笑)

玉山:大体避けようとすると追いかけて付いてくんだよな(笑)

浅野:そうそう!(笑)

一同爆笑

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この日も木地の打ち合わせを立ち話で行う、岩舘隆さんと佐々木米蔵さん。

岩舘隆さんと佐々木米蔵さんのあゆみ

花田:岩舘さんと米蔵さんとのお付き合いは、お互い仕事を始めた駆け出し20代の頃からだと伺いました。

米蔵:お互い右も左もわからない、シロウト同士だったからね。

岩舘:かえってそれがよかったんだ。

米蔵:無我夢中だったからね。
だから今でも・・・悪友っていうか(笑)

岩舘:誰が?クサレ縁だって?

米蔵:なんだか知らないけどね(笑)

花田:そうだったのですね。
では、岩舘さん今は殆どの木地を米蔵さんにお願いしているのですか?
岩舘頼んでいるけど忙しそうで、なかなか出来てこないなぁ。

一同爆笑

米蔵:ん?なんか聞こえない。

花田:都合が悪くなると聞こえなくなるパターン?

一同爆笑

岩舘:近場で行き来して、ちょっとした調整も直接相談して出来るのは強いよね。

米蔵:図面からだと完成するのに3回は書き起こすからね。

花田:なるほど、それは時間もかかるし神経も使う仕事ですね。

米蔵:だから今、滴生舎の方から1人ウチに派遣して木地屋を育てようとしているの。

花田:前向きな取り組みが始まったのですね、さすが産地です。

米蔵:新しいものを作る時、もっと早くサンプルが出来るようにと、滴生舎の小田島さんと相談して、やっと今動き出した所です。

花田:これからたのしみですね。

米蔵:あと2年はここでたっぷりかかるな(笑)。

岩舘:塗師だけでなく木地師も育てていかないと。
この仕事は分業だから作業が滞らないようにすることも大事なんだ。

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玉山さんは、米蔵さんを尊敬しています。

塗師の意図を汲む

花田:以前玉山さんに伺ったのですが、図面上のやり取りだけでなく、玉山さんがどういうもの作りたいかを、米蔵さんは汲んでくださるのだと。

米蔵:長くやっているとね、玉山君の図面を見れば、やりたいことが何となくわかってくるの。

花田:それは塗師にとって大変心強いことですね。

米蔵:はじめの頃はそれがわからなくて苦労したけど、数をこなし付き合いが長くなるにつれ、岩舘さんのうつわはこういう雰囲気だと、だんだんに分かってくる。
だから浅野さんが図面を持ってきて「どうですか?」って聞かれると「かなりいいんだけど、ココがちょっと気になるよ」という具合になるんだ。

花田:では図面は1回で終わりですか?

浅野:いえ、そこで一回持ち帰ります。

米蔵:図面直してサンプル挽いて、それで直したいところがあれば言ってもらって。

花田:玉山さんの好みがというのは?

米蔵:玉山君のはね、面倒くさくてクドイのばっかり持ってくるから「またこんなの!」って1人でブツブツ言いながらやってるの。

一同爆笑

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お孫さんのブランコや滑り台も手作りしてしまう米蔵さん。仕事以外も忙しい日々です。

玉山:す、すみません。

花田:岩舘さんの好みは何かありますか?

岩舘:そりゃ、やりやすいよ。

米蔵:そうだな、岩舘さんのは「こんな雰囲気」だね。

一同笑

岩舘:そう。こんな雰囲気ってお願いして、その通りのものが出来てくるよ。
付き合いも長いし信頼してる。

花田:うわぁいいですね、その流れ。

玉山:こんな雰囲気って形あるのかい?(笑)

岩舘:そう。じゃ大体こんな感じでってお願いしてる。

米蔵:大体の寸法を言うわけ。高さはcmで直径は12cmでお願いとか。
その中にこんな感じでっていうのがある。

岩舘:サイズにプラス、何か膨らませた感じだね

米蔵:ちょっとふっくらした感じがいいとか、軽快な感じがいいとか。

花田:軽快な、とは何でしょう。

米蔵:岩舘さんとの話の雰囲気にあるわけ、軽快なイメージが。
こっちもそれにあわせて作ってみようと。

岩舘:そうそう、全然クドクないやつね(笑)

一同爆笑

玉山:・・・俺のクドイって、どういう(笑)

米蔵:いいんだよ。玉山君のはそれで。
他には無いようなこだわりがあるから、木地を挽いていてもやりがいがあるよ。

花田:なるほど、難しいということですか

米蔵:難しいっていうか、手が掛かるんだよなぁ。
少し手が掛かんないようにして下さい。
お願いします。

一同爆笑

玉山:はい、こんど考えてきます。

花田:浅野さんはどんな感じですか?

米蔵:浅野さんはだいぶ良くなってきたね。
最初の頃は、まだ木のうつわの特徴がまだ上手く掴めてなかったと思うんだけど、形はもうかなりいろいろ見えていて、木だったらもう少しこうした方がいいよとか、厚みとかそういうところだけ直してあげれば大丈夫。

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佐賀さんは米蔵さんに師事し、今もお隣に住居兼工房を構える素敵な師弟関係です。

花田:それぞれに意図を汲まれるというのがすごいです。
その人によって答えが変わってくるわけですね。
佐賀さんはそういう仕事を見てすごいな、とか感じるところはありますか?

佐賀:格好いいなと感じます。
こういう図面を見ても自分はまだ感じ取れなくて、ただこう、図面の線を追っかけて作っているだけです。
だから多分玉山さんと組ませてもらったのだと思います。
あえて。

花田:図面どおりに、ということですか?

米蔵:もう図面がしっかりしてるの。完璧で。
こちらで手直しするところが無いから面白くないわけ。

一同爆笑

花田:佐賀さんはその方がやりやすいのですね。

佐賀:はい。そうです。

花田:では、いいコンビということですね。

佐賀:いや、コンビなんておこがましいです。

米蔵:一番いい加減なのが岩舘さんだけど、一番やりやすいよね。
細かいこと言ってこないし。
サンプル作っても「あ、いいんじゃない」ってなるから。
時々あれで良かったのかなぁって心配するときもあるけど(笑)。

岩舘:かえってそれがいいんだよ。味が出てね。

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滴生舎の展示室です。

花田:確かに汁椀のような同じような形であっても、無地であるのに、玉山さん、浅野さん、岩舘さんそれぞれの雰囲気ってあるんですよね。

米蔵:見れば大体わかりますよね。

岩舘:形とかね。

米蔵:これ玉山君だな、浅野さんだなってわかるでしょ。

花田:ええ。

米蔵:それ。それが一番ですよね。
その人らしさを形にしたい。

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工房の前はとても広い敷地。材木がたくさん置かれています。

木材

花田:今、木材は手に入りやすいのでしょうか?

米蔵:今年はたまたま良いのが手に入ったからよかったね。
来年も良いとは限らないけど。
今年は正月前から順調だったね。

花田:順調というのは量が十分に入ってくるという意味ですか?

米蔵:その山は、ちょうどウチで使っているものが多くあって。

花田:見に行くのですか?

米蔵:山へは行かないけど、良いの出たって聞くと切り出した木材を見に行きその中から選びます。

花田:同じ木の中から1本選ぶのですか?

米蔵:そうですね。中には「これはいらないな」というのもあるし。

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花田:今年は何かコレは良かったという木はありましたか?

米蔵:今年はわりとミズメ(※水目桜)が良かったね。
ミズメ丸太で10本くらい買ったかな?

正徳:丸太で・・・14、5本かな?

花田:汁椀になるんですか?

正徳:大体そうですね。
12月の頃から最初の乾燥は仕上がっているから、もう使い始めています。

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米蔵さんと正徳さんの工房。

木地の仕事

花田:焼きものと違って漆器の製作工程は幾人もの手を渡ります。
木を切る人、挽く人、塗る人で、自分1人ではどうにもならない所があると思うのですが、僕らは漆器が入って来ないと、どうしたって塗る人の所へ連絡します。
例えば玉山さんに電話すると「いやちょっとまだ木地が上がってこなくて」という話になるのです(笑)。
それでは佐賀さんに連絡してみると、実はまだ木が無い、みたいな感じでグルグルまわってしまうことがあります(笑)。
困りつつも材料が無ければ仕方がないし、急いでどうにななるものでもないし・・・と諦めつつもまた電話したりを繰り返してしまうのですが、そのあたり連携ってどうなんでしょう(笑)。

一同爆笑

米蔵:玉山君にしてみれば、木地が来てないってことになるわけだよね。

玉山:今度連絡きたら、まだ植林してないからって言います。

岩舘:ウチも米さんに聞いてみるってなる(笑)

花田:それで僕らはたらいまわしにされる(笑)。
その辺はお互い仕事のテンポもわかっているわけだし、いちいち早くしろとか、そういうやり取りはしないものなのですか?

米蔵:どうしようもなくなった時、箱屋のせいにしてしまったことあるよ。

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気さくに箱屋エピソードを語る佐々木米蔵さん。

浅野:えーっ、箱屋!(笑)

米蔵:箱がないから今出せない、3日か4日かかると思うんだけどってね。

一同爆笑

花田:箱屋さんも自分がそんなところで使われているとは思いもよらないですね(笑)。

正徳:ふふっ(笑)箱屋さんが一番早いけどね。

一同爆笑

玉山:そうだよ。朝電話したら夕方届いてるもんな(笑)

花田:まだ箱を頼んでなかったということで…

米蔵:本当はまだ箱を頼む状態にないわけですから。

一同爆笑

花田:木地は最後一気に仕上げることが出来るものなのでしょうか?

米蔵:うーん、材料の状態がよければね。
100個位は1回でやってしまった方がいいんだよね。
1回といっても何日かに分かれるけど。

花田:少しずつ挽くということでしょうか?

米蔵:いや、片面ずつ挽くからね。

花田:木の調子というのは、出来上がりに影響を与えるものですか?

佐賀:乾燥ですね。乾燥がしっかりしてないとゆがんでしまうので。

米蔵:だから梅雨に入ってしまうと大変なんだよね。
雨が続くと、イケルかなと思った予定がどんどんズレ込んでしまうね。

花田:出来上がった木地に、良し悪しではなく今回はこうだな、みたいな何か感じることはありますか?

岩舘:米さんの木地は安定しているから何もないかな。

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木地師の佐賀さん。笑顔にやさしさがにじみ出ます。

佐賀:玉山さんはこっちの事情を考えてくれて「今度こういうの頼みたいから材料用意しておいて」って言ってくれます。

花田:それすごいじゃないですか!配慮ですね。

一同爆笑

玉山:配慮してんだけどうまく行かないんだよなぁ。

花田:難しいですか?

佐賀:難しいです。

花田:人間がですか?

一同爆笑

佐賀:仕事がですよ、こっちまで巻き込まれる(笑)

一同爆笑

花田:見本1個作ってダメだったこともあるのですか?

佐賀:自分は1個作って玉山さんに見てもらって・・・それでダメ出し。

玉山:あれっ、そうだっけ?

米蔵:図面の通りに作らないからダメなんじゃないか?

玉山:うーん、図面が悪いと思ってんじゃないか?(笑)

岩舘:図面の通り作り過ぎるからじゃないの?

米蔵:そっちか?なんだこれは、図面の通りじゃないかって。

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玉山さんと佐賀さんの絶妙コンビ。

一同爆笑

佐賀:まだ口の作りの勘所がわからなくて、そういう細かい部分での話です。

米蔵:口縁は、スーッと線を魅せたい部分でもあるわけだ。
それをクルンと丸くし過ぎてしまうと線が見えないから「角を出してくれ」という話になるわけ。

花田:そういう繊細なところが「違ったな」という判断で、玉山さんは再度見本を依頼することになるのですね。

玉山:俺だけじゃなくて、縁の作りはその人によって拘りがあると思いますよ。

米蔵:そうだね。
ただ岩舘さんのところは大体丸い作りだから、俺が作るのも正徳が作るのも殆ど一緒だよな。

玉山:俺は後発部隊ですから少し変えないと。
面倒くさいのを作ってもらって、面倒くさいのを塗って、そうしてやっていくのさ(笑)。

一同爆笑

花田:木地を挽く段階で、塗りやすさを考えることはありますか?

佐賀:出来るだけ木地が毟れたりしないようにします。
それは基本ですけど。

米蔵:塗りを何にするかで、木地の仕上げも変わります。
拭き漆だったらサンドペーパーを一段手前にするとかね。

花田:拭き漆の場合は細かい目のものを使うのですね?

正徳:荒いペーパーで仕上げると、拭き漆をかけた時筋目が多く出てしまうので。

花田:朱や黒の場合は荒い目にするのですね。

岩舘:塗りの場合、逆に細かすぎると漆の密着性が悪くなるから、ザラザラの方が良いかもしれない。

花田:では頼むときに仕上げの塗りを何にするかは伝えておくのですね。

米蔵:浄法寺は塗り重ねですが、会津の方はサビ付けがあり木地の仕上げも変わってきます。

岩舘:布を着せるのと着せないのでも違ってくるしね。

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工房の前の庭で談笑する、若い木地師同士の正徳さんと崇さん。

地域と人のつながり

花田:お互い行き来をして、木地師は塗師の意図を汲み、図面プラスの仕上げをする技術と意思疎通は、全国どこでも出来ることではなさそうですね。

花田:通常はオーダーを出し、それに基づいて仕事を進めるというのが一般的な気がします。
正徳さんは山中でも仕事されて、何か感じることはありますか?木地師の方は塗師の関係など。

正徳:やはり俺らは地域にありますからね。
作り手同士が繋がっているとは感じます。

花田:作風だけでなく、性格も分かり合って仕事をされている感じですよね。
玉山さんという人を知らなければ、ちょっとこの図面、面倒だなって思ってしまいそうですもの。

一同爆笑

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図面のと人のやり取りで、新作が誕生します。

米蔵:玉山君とも長いもんな。
もうどれくらい?

玉山:そうですね、25年位になります。

花田:初めの頃と今と何か変わりましたか?

玉山:俺ははじめ自分の図面は完璧だと思っていたから、後で直されていたことに気づいてびっくりしたよ。

花田:直してあってこと知らなかったのですか?

玉山:うん。気付かなかった。

米蔵:だって気付くほど直したら自分のじゃなくなっちゃうだろう。

一同笑

米蔵:その程度で止めておかなくっちゃ。
例えば岩舘さんのもこんな感じでって言われているからって、岩舘さんのイメージを無視して俺の勝手にしてしまうわけに行かないよ。

岩舘:そしたらみんな米さんの作品になっちゃう。

米蔵:だからそこは抑えてやる必要がありますね。

花田:玉山さんが直しに気付いたきっかけはなんだったのですか?

玉山:たまたま昔の図面を見返したら「あれ、違う」と、木地と違うとわかったの。
俺の悪いところ直してくれていたんだと驚いたよね。

花田:塗師によって対応もいろいろなのですね。

浅野:私は図面に直しが入ったら、もう一度書き直して持って来ます。

米蔵:岩舘さんの面白いところは、焼き物をもってくるところだね。
「こんな感じで木のものにしてくれる?」ってね。

岩舘:形があるとわかりやすいじゃない?

米蔵:そう。形が気に入っているんだろうから、それを生かすために厚み等バランスを考えて木地を挽くわけです。
ただ、焼き物のカーブや丸みがあえて付けているのか、たまたまそうなっているのかわからない時がありますね。
最終的には木のうつわとして成立するよう全体を整えるわけですが。
例えば葉書一枚分薄くするともっと良くなる、という時もあります。

花田:えっ?葉書一枚分ですか?葉書って何ミリくらいなんだろう?

米蔵:0.2mm位かな?

玉山:例えば縁だったら、0.2mmで完全に雰囲気変わりますから。

花田:焼きものだと縁の雰囲気は全体の印象を決めますからね。
重要な部分なのですね。

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座談会の爆笑トークにつられて笑ってしまう、佐々木正徳さん。

これからのこと

花田:これからやってみたいこと、作ってみたいものはありますか?

岩舘:やっぱり若い人かな。

米蔵:岩舘さんとこの息子とウチの息子なんかで面白くやってくれれば良いかなと。

花田:巧さんと正徳さんで「あんな感じで」「こんな感じで」となれば楽しそうですね。

一同爆笑

玉山:岩舘さんと米蔵さんは、電話の打ち合わせてうつわが作れちゃうんだからすごいよ(笑)

米蔵:失敗する時もあるけど、失敗した時が一番覚えられていいのよ。

玉山:ちよっと、俺のでは失敗しないでよ!

正徳:玉山さんので失敗してそれで学んで他で上手くいくとかね(笑)

岩舘:それは困っちゃうけど、1~2位試作段階での失敗はあってもいいんだよ。
取り返しのきかない段階で失敗するよりずっといいんだ。
こうしたら間違えるっていうのがわかっているからさ。

花田:失敗との付き合い方もわかりますしね。

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塗師の岩館巧さん、岩舘隆さんの息子さん。塗師として活躍しています。

花田:いいお話が伺えました。ありがとうございました。
11月の浄法寺漆展の時期にインタビュー記事としてご紹介したいと思います。

玉山:えっ、音声で流すの?

花田:あっ!それ斬新ですね。面白そうです。

岩舘:きっと何言ってるか誰もわかんないよ。

※水目桜(ミズメザクラ)・・・外観や葉っぱの形が桜ににていることや、樹皮を傷つけると水のように樹液がでることなどから、水目桜と呼ばれる。
「桜」と名前についているがが、カバノキ科カバノキ属の樹。

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右:滴生舎の小田島勇さん。ふるさとの宝である浄法寺漆を、人々に広め、次世代へつないでいきます。



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